ちょっと間あいちゃったんですが。
み、短!!
同居連作その2。
ファミリアは甘ったるいくらいの幸せ感をだそうと思っていたのに・・・あ、れ?
次のはもっと甘く幸せな気分に浸るやつにしたい。
ひとりよりも~、のくだりは旧約聖書『コヘレトの言葉』
すべては虚しい、で始まるなかなかパンチの効いた章です。
うちの兄貴はカトリック設定。
(カトリック家庭出身だからバックグラウンドが云々とかそういう)
一人よりも二人が良い
そう言ったのは誰だったか
ファミリア 2
玄関のチャイムをならす。
扉の向こうから近づいてきたよく知る足音に、自然と浮き足立った気持ちになる。
このほんの十数秒に、遠い子供の頃の記憶が甦る。
「おかえりなさい」
出迎えてくれたのは記憶の中の母ではなかったが、いまやそれ以上に愛しい同居人だった。
胸の中が暖かくなる。
ああ。やっぱりいてくれた、と。
俺はもう孤独ではない、俺を待つ誰かがいる。
鍵を持っているくせに毎回必ずチャイムを鳴らして家へ入るのは、これが夢でないことを確認するための儀式なのだ。
期せずして手に入れた二人だけの生活は、砂の城だと俺は感じている。
戦争根絶の名の下に世界中で戦いを行ってきた自分たち。
数々の命を奪い、破壊してきた俺たちに人並みの幸せなど与えられるべきでは無いのかも知れない。
頭ひとつ小さな身体を抱き寄せて額にキスをする。
律儀に瞳を閉じる姿が愛しい。
美しい紫の髪を指で梳いた。
偶然でもなんでもいい。
いつか終わってしまうとしても、今はこの幸せに浸りたい。
これは俺一人では手に入らない、人間の暖かさなのだから。
「ただいま、ティエリア」
PR